集中型電源と分散型電源の違いを比較

更新日:2019年6月6日

スマートグリッドを構築する際にしっかりと検討しなくてはならないのが電力供給に関することです。発電効率や災害への対策などを考えて、集中型電源と分散型電源の両方を上手に活用する必要があります。私たちが普段何気なく使っている電力ですが、これからは大規模発電所以外からも電力を融通できるようになります。

目次

  1. 集中型電源とは
  2. 分散型電源とは

集中型電源とは

現在の主流となっているのは集中型電源です。大規模な火力発電所や水力発電所などが該当します。非常に膨大な量の電力を発電できるため、電力会社は多数の集中型電源を保有しています。なお、スマートグリッドが構築された後も重要な電源であることには変わりはありません。むしろ、いつまでも不可欠な存在と言えます。

電力供給の安定化という観点から分散型電源が注目を集めていますが、その対義語に当たるのがこちらのページでご紹介する集中型電源です。分散型電源と比べるとあまり聞き慣れない言葉ではありますが、従来型の発電所はほとんど集中型電源に該当するため、それほど難しい内容ではありません。

集中型電源に該当する主な電力供給方法は以下の5つです。

特徴

集中型電源の仕組み
(出典:東京ガス

集中型電源の特徴は「発電規模が大きいこと」と「電力の大消費地から距離があること」の二点です。大雑把に分けてしまうと火力発電や水力発電や原子力発電などが該当します。火力発電に関しては割と大消費地の近くに発電所が建てられているケースもありますが、水力発電や原子力発電は離れていることがほとんどです。

都心から離れた場所の広い土地を取得し、規模の大きな発電所を建て、そこで大量の電力を作り出します。その電力は電線を通じて各家庭やビルなどといった電力需要のある場所へと送られます。簡単ではありますが、これが集中型電源の仕組みです。どの発電方法でも電力供給の仕組みは変わりません。

実際に調べてみると、大規模な発電所は大都市とされるような場所にはほとんど存在しません。東京や大阪に原子力発電所はありませんし、名古屋や札幌に水力発電用の巨大なダムはありません。これらのような大都市に広い土地を必要とする発電所を建設しても、地代の分だけ発電コストが高くなってしまうからです。

もちろんコストだけが理由ではなく、万が一の事故が発生した際に被害を小さくするためであったり、都心部に巨大な発電所があることによる経済への悪影響であったりなど、様々な理由があります。また、水力発電においては物理的に大都市では発電が難しいという理由もあるでしょう。

繰り返しにはなってしまいますが、いずれにしても「発電規模が大きいこと」と「電力の大消費地から距離があること」という2つの点が集中型電源の特徴となっています。分散型電源はこれの真逆と考えてもらえれば結構です。

メリット・利点

集中型電源の主なメリットを箇条書きでご紹介します。

  • 発電量が大きい
  • 安定して質の良い電力を発電できる
  • 分散型電源と比べて発電効率が良い
  • 発電所周辺の地域経済活性化につながる(特に原子力発電)
  • 事故が起きても多大な被害を引き起こすことは稀(原子力発電は除く)

デメリット・問題点

今度は逆にデメリットや問題点を挙げてみたいと思います。

  • 電力消費地から離れているため、送電ロスが発生する
  • 発電所そのものだけではなく、送電設備にも投資が必要
  • 分散型電源と比べると、発電時に発生する廃熱を有効活用しきれない
  • 発電所建設のために森林伐採などの自然破壊が起きてしまう可能性がある
  • 複数の発電所が発電を停止しただけで、電力の安定供給に支障を来す場合がある

分散型電源とは

少しずつ普及が進んでいるのが分散型電源です。都市内もしくは近郊にある小型の発電所や、一般の建物に設置されている発電装置などが該当します。一機(一ヶ所)の発電量は集中型電源とは比べものになりませんが、電力消費地のすぐそばで発電することができるため、送電ロスが少ないという特徴があります。

地球温暖化や資源枯渇の観点から再生可能エネルギーが注目を浴びていますが、電力の需給という視点から分散型電源という考え方も注目されるようになりました。現状ではまだ従来のような火力発電や水力発電などといった集中型電源が主流であるものの、分散型電源もじわりじわりと広がりつつあります。

分散型電源に該当する主な電力供給方法は以下の通りです。

特徴

分散型電源の仕組み
(出典:東京ガス

分散型電源の特徴は「一般住宅やビルの中、もしくは電力の大消費地近辺で発電を行うこと」と「小規模な発電設備であること」の2点が代表的です。上のイラストの通り、建物に導入されているコージェネレーションシステムや太陽光発電システム、大消費地近くの風力発電やメガソーラーなどが対象となっています。

太陽光発電も風力発電も再生可能エネルギーを用いた発電で、固定価格買取制度の対象となっていることから、既に広く一般にも知られている設備ですが、まだあまり知られていないものの注目を集めているのがコージェネレーションシステムです。

横文字で難しく感じるかもしれませんが、コージェネレーションシステムとは発電時に発生する廃熱を有効活用する仕組みのことを言います。熱の使い道は様々で、給湯に使われることもあれば、冷暖房に使われることもあります。

工場やビルや発電所などに導入されている比較的規模の大きなコージェネレーションシステムは主にガスエンジンやガスタービンで発電を行い、一般住宅に導入されている小型のものは燃料電池を用いて発電を行っています。ちなみに、この家庭用のシステムは「エネファーム」というブランド名で販売されています。

メリット・利点

それでは分散型電源のメリットとはいったい何なのでしょうか。細かく挙げるときりがありませんが、重要なポイントだけ箇条書きでお伝えしたいと思います。

  • 各家庭やビルの電気料金の削減が可能
  • 電力消費地で発電を行うため、送電ロスが極めて少ない
  • コージェネレーションシステムのように熱も有効に使える
  • 災害などに起因する広域な停電が発生しても、非常用電源として活躍できる
  • 地域の電力供給安定化が見込める(集中型電源に事故が起きても自家発電できる)

デメリット・問題点

普及が進みつつあるとは言っても、メリットばかりという訳ではありません。デメリットや検討の余地がある問題点などもまだ残されています。

  • 集中型電源と比べると発電効率は落ちる
  • 発電した電力の質が良くない可能性がある
  • 人口の多い場所で事故が起きた場合のリスクが大きい
  • 補助金制度があるとはいえ、設備の導入にかなりの費用がかかる

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