借入額や借入期間や返済額などといった、住宅ローンに関する様々な目安相場をご紹介します。平均の数値を意識して住宅ローンを組む必要はありませんが、無理のない返済にするためにも、ぜひ参考にしていただければと思います。
- 年収別の借入可能額の目安相場
- 現在の家賃別の借入額相場
- 月々の平均返済額
- 返済期間(借入期間)の平均
- 住宅ローン控除(減税)も忘れずに!
- 控除の条件
- 控除額の計算式
- 手続き方法
- いつまで使える?
- よくある質問
- 住宅ローン契約時にかかる諸費用一覧
年収別の借入可能額の目安相場
住宅ローンの借り入れ可能な上限額は一般的に「年収の8倍」と言われていますが、実際に8倍まで借りているケースは希です。8倍まで借り入れてしまうと、月々の返済額が高めになるだけではなく、返済期間も長めになりがちです。
無理のない借り入れの目安として、「年収の4~5倍」という金額が理想的と言えます。4~5倍程度であれば、返済に余裕が出てきますので、繰り上げ返済をして返済期間を短くすることも十分に可能です。
ネット上では年収の6~10倍などといった金額が出ていることもありますが、5倍以下で借り入れをしている方がほとんどです。
年収(税込) | 借入額の目安 |
---|---|
300万円 | 1200~1500万円 |
400万円 | 1600~2000万円 |
500万円 | 2000~2500万円 |
600万円 | 2400~3000万円 |
700万円 | 2800~3500万円 |
800万円 | 3200~4000万円 |
900万円 | 3600~4500万円 |
1000万円 | 4000~5000万円 |
現在の家賃別の借入額相場
年収からの借入額の目安を先にご紹介させていただきましたが、今度は現在の家賃から考えてみましょう。現在の家賃と毎月の返済額が同額になるように設定すると、35年ローンでいくらくらい借り入れられるのか、目安にしていただければと思います。
年収(税込) | 借入額の目安 |
---|---|
7万円 | 2200万円 |
8万円 | 2550万円 |
9万円 | 2900万円 |
10万円 | 3250万円 |
11万円 | 3600万円 |
12万円 | 3950万円 |
13万円 | 4300万円 |
14万円 | 4650万円 |
15万円 | 5000万円 |
月々の平均返済額
借り入れている金額によって返済額は大きく変わりますが、総務省統計局の家計調査によると、月々の平均返済額は9万円ほどです。
関東地方では10万円弱、九州地方では83,000円ほどと、地域差も出ています。世帯によっても違いがあり、20代の場合は72,000円ほど、50代になると10万円ほどが平均返済額となっています。
なお、金融機関や情報サービス業者による様々なアンケートなどを見ても、「5万円~10万円」の範囲内で回答されている方が最も多くなっています。
返済期間(借入期間)の平均
住宅ローンは最長で35年の借り入れができるため、35年ローンという印象が強いですが、実は30年以上で住宅ローンを組んでいるケースは少ないです。
フラット35でお馴染みの住宅金融支援機構が公開している民間住宅ローンの貸出動向調査によると、35年ローンを組む割合は1割にも満たず、契約時の平均借入期間は「25年」ほどとなっています。
さらに、こちらのデータからは完済にかかった期間も見ることができるのですが、完済までの平均返済期間は「15年」ほどとなっていて、一般的に見ても繰り上げ返済を行っている方が非常に多いということが分かります。
住宅ローン控除(減税)も忘れずに!
住宅ローン控除とは、住宅ローンを使用して居住用の住宅を購入した際、その借入金の一部を所得税(所得税から控除しきれない場合は住民税も)から控除する制度のことを指します。その性質から「住宅ローン減税」と呼ばれることも多いです。
なお、これらの呼び方はいわゆる通称で、正式名称は「住宅借入金等特別控除」です。増築改築時の場合は「特定増改築等住宅借入金等特別控除」となります。
以前は最大で160万円までの控除でしたが、制度改正に伴って、現在は最大で500万円(長期優良住宅の場合:年50万円×10年)あるいは400万円(一般住宅の場合:年40万円×10年)もの税金を控除することができます。
控除の条件
税金面で大きな優遇を受けることができるわけですから、これを利用しない手はありません。
ただし、数百万単位になる優遇ということもあり、減控除を受けるためにはいくつかの条件をパスする必要があります。誰でも満額の500万円あるいは400万円の控除を得ることができるという訳ではありません。
以下に住宅ローン控除の条件をまとめてみます。
- 控除を受ける年の所得合計が3,000万円以下であること(収入が給与のみの場合は年収が3336万円以下)
- 金融機関などで償還期間を10年以上とした住宅ローンを組んでいること
- 住宅取得後は6ヶ月以内に入居し、住宅ローンの契約者が住み続けること
- 建物の床面積が50平米以上であること(登記上の面積)
- 中古物件の場合、マンションは取得の日から25年以内に建築されたもの。木造住宅は20年以内に建築されたもの。ただし、耐震基準を満たしている物件の場合は築年数は無関係。
- 居住目的の購入であること(投資目的は不可)
主な条件をピックアップしてみました。不公平感を少なくするために所得による制限がかけられているほか、購入する住宅に関しても各種条件が設けられています。
最も気をつけていただきたいのが上から2番目の項目です。10年以上のプランで金融機関から住宅ローンを組む必要があります。
9年以下のプランであったり、現金で一括で払った場合、親族などからの借入金で住宅を購入した場合などは、控除の対象外となります。
自分が住宅ローン控除の対象になるかどうかは、最寄りの税務署で相談することもできますし、住宅ローンを組む際の金融機関の窓口などでも直接相談に乗ってもらうことができます。
自分で「大丈夫だ」と決めつけてしまわずに、税務署や金融機関の窓口で専門家の方の意見も聞いてみるようにしましょう。
控除額の計算式
年末時点の住宅ローン残高×控除率(1.0%)を計算して算出された金額が控除可能額です。一般住宅の場合は最大で40万円、長期優良住宅や認定低炭素住宅は最大で50万円となります。
同年の所得税が控除可能額よりも大きければ、その年の減税額は控除可能額となります。
控除可能額の方が大きいのであれば、所得税分に加えて、さらに住民税額も追加で差し引くことができます。
例
分かりやすいように端数を省いた簡単な例をひとつご紹介します。
- 年末の住宅ローン借入残高:2000万円
- 所得税:7万円
- 住民税:15万円
この場合、2000万円×1.0%=20万円が控除可能額です。この金額は所得税7万円よりも大きいので、さらに住民税から13万円を追加で差し引くことができます。そのため、この場合は20万円が減税額となります。
手続き方法
数ある条件を満たしているだけで、自動的に住宅ローン控除を受けられるという訳ではありません。制度を利用するためには手続きが必要となります。
年末の借入残高に応じて税金を優遇するという仕組みですので、手続きは確定申告時に行うことになります。
確定申告は毎年2月16日~3月15日の平日と決められています。この間に最寄り(管轄)の税務署に行って確定申告を行うことができます。なお、住宅ローン控除の申請ができるのは住宅を取得してから5年以内ですので注意しましょう。
自営業の方であれば既に経験がお有りかと思いますが、サラリーマンの方は確定申告自体初めてのことですので、色々と戸惑うかもしれません。ただ、税務署の方もできるかぎりのサポートしてくださるので、税金の優遇を受けるためにも頑張りましょう。
確定申告時の必要書類
- 必要事項を記入した確定申告書
- 住宅借入金取得等特別控除額の計算明細書
- 住民票(住民票の写しも可)
- 金融機関からの借入金残高証明書
- 売買契約書や工事請負契約書など
- 源泉徴収票
- 不動産登記簿(登記事項証明書)
これらが住宅ローン控除を受けるための必要書類です。
国税庁や税務署のホームページからプリントアウトできるもの、役所や法務局に出向いて入手するもの、勤務先や金融機関から入手するもの、といった具合に様々な種類の書類が必要となります。これらを揃えることができたら、税務署に向かいましょう。
2年目以降の手続き
なかなか慣れなくて大変な確定申告の手続きですが、給与所得者の場合は、2年目以降は年末調整で自動的に控除を受けることができます。
税務署から送られてくる「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」と「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」、そして金融機関から送られてくる「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」を勤務先に提出すればOKです。
いつまで使える?
納税者の税金負担を減らすことと、それによる経済効果や景気回復効果を期待して始まられた住宅ローン控除ですが、当初の計画では2008年に制度終了となる予定でした。
その後、リーマンショックを発端とした世界的な不況のあおりを受けて、今後も景気回復の対策が必要だということになり、住宅ローン控除の制度は5年間の延長が決められました。
これで従来通り、税金の控除を受けることができるようになったのですが、民主党への政権交代時に「本当に必要な制度なのか。経済効果は見合っているのか」ということで、再び議論がなされました。
これで制度の終了もあり得るとの報道もされましたが、結局のところ5年間の延長が正式に承認されることとなったのです。
そして、そこから5年が経ちました。「え?じゃあ今から住宅ローン組んでも減税にならないの?」と思われるかもしれませんが、ご安心ください。
2013年をもって住宅ローン控除の制度が終了となる予定でしたが、再び制度の延長が決まり、現時点では2021年12月入居分まで、住宅ローン控除ができるようになっています。
よくある質問
住宅ローン控除に関する疑問質問をまとめてみました。よく挙げられる疑問質問ばかりをピックアップしてご紹介しております。
ちょっとした認識違いで控除を受けられなかったりするケースもあり得ますので、こちらでお持ちの疑問点などを解決してみてください。
また、住宅ローンのサービスを提供している金融機関の窓口でも、控除に関する相談をすることができます。
どちらの金融機関でも住宅ローンの担当者がいますので、なにか気になることがあったら、気兼ねなく尋ねてみましょう。
借り換えをした場合はどうなるの?
これまでのプランと基本的な条件に変更がなければ大丈夫です。
返済期間が10年以上であることや、居住用の住宅に対する借入金であることなどと言った基本的な項目をクリアしているのであれば、控除対象となります。
繰上返済をした場合はどうなるの?
「10年以上の返済期間のある借入金」というのが住宅ローン控除の条件です。そのため、これまでに返済した期間と繰上返済後の返済期間の合計も10年以上になる必要があります。
繰上返済をした結果、その合計が9年以下になってしまったという場合、控除を受けることはできませんので注意しましょう。
全額自己資金でまかなったのですが、減税は受けられる?
こちらのケースは残念ながら控除を受けることはできません。同様に返済期間が9年以下の場合や、親族からの借入金などといった場合も控除は不可能です。
パンフレットと登記簿の床面積が違うんだけど?
住宅ローン控除の条件である床面積50平米以上というのは、登記されている面積を基準としています。
どちらも50平米以上であるのであれば住宅ローン控除を受けるにあたって問題は生じませんが、パンフレットは50平米以上なのに登記簿では50平米以下という場合は控除不可となります。
転職したらまた確定申告をする必要がある?
転職をしても再び確定申告をする必要はありません。
ただし、勤務先に年末調整を行ってもらうために、税務署から「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」を再交付してもらって、それを勤務先に提出する必要があります。
また、「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」と「住宅取得金に係る借入金の残高証明書」もこれまでと同じように、毎年新しい勤務先に提出します。
住宅ローン契約時にかかる諸費用一覧
住宅ローンには金利以外にも必要となる経費がいくつかあります。数千円程度のものもあれば、場合によっては数十万円以上かかってしまう可能性があるものまでありますので、事前に知っておかれるといいかと思います。
なお、手数料や保証料や保険料などは金融機関によって無料の場合もあります。そのため、単純に金利が安いからといって飛びつくと、意外な出費がかさんでしまって、総支払額で見るとそんなに安くなかったなんてこともあります。
項目 | 解説 |
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事務手数料 | 住宅ローンを利用するときに金融機関へ支払う事務手数料のことです。金融機関によっては無料の場合も。 |
印紙税(印紙代) | 住宅購入時の売買契約書と、ローンを組む際の金銭消費賃貸契約書に貼り付けます。必要となる印紙代は購入する物件の価格によって異なります。 |
登録免許税 | 所有権の保存や移転登記の際、抵当権設定を登記する際、などに必要となります。こちらも印紙代と同様に物件の購入価格によって変動します。 |
司法書士への報酬 | 抵当権設定やその他の登記を司法書士に依頼する際に必要となります。司法書士事務所によって設定金額が異なりますが、だいたい5万円前後が相場です。 |
保証料 | 住宅ローンを返済できなくなった場合には保証会社が債務者の代わりに支払います。その保証会社に支払うお金です。保証会社を必要としないケースやフラット35などでは保証料は不要です。 |
団体信用生命保険料 | 債務者が死亡してしまった場合や、重度の病気を患ってしまい、住宅ローンの返済が不可能になったときに、以降の返済を免除する保険です。金融機関の住宅ローンでは加入が必須で、フラット35では任意となっています。保険料は無料(金融機関が負担)というところも多いです。 |
火災保険・地震保険 | 万が一の災害で住宅ローンを支払えなくなった場合の保険にもなるので加入を義務づけるケースがほとんどです。 |